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遺産相続と不動産売却:権利書を勝手に持ち出して売却できる?相続手続きと法的対応

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相続手続きをする前に、権利書を勝手に持ち出して不動産を売却することは可能なのでしょうか?もし可能でない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?誰に相談すれば良いのかも教えてください。
まず、相続とは、亡くなった人の財産(遺産)が、法律で定められた相続人(このケースでは、子供3人と母親)に引き継がれることです。不動産も遺産の一部です。 相続が開始した時点で、遺産は相続人全員の共有財産(複数人で所有する財産)となります。 権利書は、その不動産の所有権を証明する書類ですが、権利書自体が所有権を意味するわけではありません。所有権は、登記簿(不動産の所有者などを記録した公的な帳簿)に記載されている情報によって決定されます。
結論から言うと、相続手続きが完了する前に、相続人(この場合、子供の一人)が単独で不動産を売却することはできません。 なぜなら、相続開始と同時に不動産は相続人全員の共有財産となるため、売却には全員の同意が必要だからです。 子供の一人が権利書を勝手に持ち出したとしても、売買契約は有効になりません。 仮に売買契約が成立し、売買代金を受け取ったとしても、他の相続人がその売買契約の無効を主張し、代金の返還を求めることができます。
この問題は、民法(相続に関する規定)と不動産登記法(不動産の登記に関する規定)に関係します。民法では、相続開始によって相続財産が共有となることが規定されており、共有財産の処分には、共有者全員の同意が必要とされています。不動産登記法では、不動産の所有権の移転は、登記によって初めて有効となります。そのため、たとえ売買契約が成立したとしても、登記がされない限り、所有権は移転しません。
権利書は所有権を証明する重要な書類ですが、権利書そのものが所有権ではありません。 権利書を紛失しても、所有権は失われません。所有権の有無は、登記簿に記載されている情報に基づいて判断されます。 そのため、権利書を手に入れたからといって、勝手に不動産を売却できるわけではないのです。
まずは、権利書を持ち出した子供に、不動産の売却を中止するよう強く求めましょう。 話し合いがうまくいかない場合は、弁護士に相談し、法的措置を検討することが必要です。弁護士は、内容証明郵便(証拠として残る書面)などを活用し、売却の差し止めを求めることができます。 また、警察への相談も検討できます。権利書の窃盗にあたる可能性があるからです。
今回のケースでは、弁護士への相談が強く推奨されます。 弁護士は、相続手続きに関する法律知識を有しており、適切なアドバイスや法的措置を講じることができます。 特に、話し合いが難航する場合や、法的措置が必要となる場合は、弁護士の専門的な知識と経験が不可欠です。
相続における不動産の扱いは、法律に基づいた厳格な手続きが必要です。 相続開始と同時に不動産は共有財産となり、売却には相続人全員の同意が必要です。 権利書を勝手に持ち出して売却することはできません。 問題が発生した場合は、速やかに弁護士に相談し、適切な対応を取りましょう。 相続手続きは複雑なため、専門家の力を借りることで、トラブルを防ぎ、円滑な手続きを進めることができます。
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