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遺留分減殺請求調停申立書作成における貯金処理:相続財産と申立書の書き方

質問の概要

私は、亡くなった実の兄(被相続人)から相続した不動産について、遺留分減殺請求(遺留分を侵害された分を取り戻す請求)を行うため、家庭裁判所に「遺留分減殺による物件返還請求調停の申立書」を作成しています。申立書に「被相続人の遺産は、別紙の遺産目録記載の不動産だけであり、他に遺産及び負債はありません」と記入例にあるのですが、実際には兄には貯金もありました。

【背景】
* 兄が亡くなり、相続が発生しました。
* 兄の遺言によって、私の相続分が減少し、遺留分を侵害されていると感じています。
* 遺留分減殺請求を行うため、申立書を作成しています。
* 申立書に記載する内容について、貯金の扱いについて悩んでいます。

【悩み】
* 被相続人の貯金は相続財産に含まれるのでしょうか?
* もし含まれる場合、申立書に「貯金の遺留分は相続人に考慮して受け取らない」旨をどのように記載すれば良いのでしょうか?

貯金は相続財産に含まれます。申立書には、貯金分の遺留分は請求しないと明記しましょう。

相続財産の範囲:貯金も含まれる

相続財産とは、被相続人(亡くなった人)が死亡した時点で所有していたすべての財産のことです。 これは、不動産だけでなく、預貯金、株式、債権(お金を借りている人から返済を受ける権利)、自動車、美術品など、あらゆる種類の財産を含みます。 したがって、ご質問にある被相続人の貯金も、相続財産に含まれます。 「不動産だけであり」という記述は、正確ではありません。

遺留分減殺請求と貯金の扱い

遺留分減殺請求とは、法定相続分(法律で定められた相続分)よりも少ない相続分しか受け取れなかった場合、その不足分を他の相続人から請求できる制度です(民法第1000条以下)。 この請求は、不動産だけでなく、他のすべての相続財産に対しても行うことができます。

しかし、ご質問のように、貯金分の遺留分を請求せずに、不動産の返還のみを請求したいという場合、申立書にその旨を明確に記載する必要があります。

申立書への記載方法:貯金分の請求放棄

申立書に「貯金の遺留分は相続人に考慮して受け取らない」旨を記載する際には、次のような表現が考えられます。

例1:
「被相続人の預貯金についても遺留分は存在するものの、本件調停においては、別紙遺産目録に記載の不動産の返還のみを請求し、預貯金については請求いたしません。」

例2:
「被相続人の預貯金については、相続人である〇〇(相続人の氏名)に帰属することを承諾し、本件調停においては、その請求をいたしません。」

どちらの表現も、明確に貯金分の遺留分請求を放棄する意思を示しています。 重要なのは、曖昧な表現を避け、あなたの意思が明確に伝わるように記述することです。

関係する法律:民法

このケースでは、主に民法(特に相続に関する規定)が関係します。 民法は、相続、遺言、遺留分など、相続に関する様々なルールを定めています。 遺留分減殺請求の根拠も民法に規定されています。

誤解されがちなポイント:遺留分と法定相続分

遺留分と法定相続分は混同されやすいですが、異なる概念です。 法定相続分は、法律で定められた相続人の相続割合です。一方、遺留分は、相続人が最低限確保できる相続分のことで、法定相続分よりも少ない場合があります。 遺留分は、遺言によって減らされることはありますが、完全に奪われることはありません。

実務的なアドバイス:証拠の確保

申立書を作成する際には、被相続人の貯金額を証明する証拠(預金通帳のコピーなど)を準備しておきましょう。 裁判所は、あなたの主張を裏付ける証拠を必要とします。 また、遺言書のコピーなども必要となる場合があります。

専門家に相談すべき場合

相続問題は複雑で、法律の専門知識が必要です。 ご自身で申立書を作成することに不安がある場合、または、相続財産に複雑な要素(高額な財産、多くの相続人など)が含まれる場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、適切なアドバイスとサポートを提供し、あなたの権利を守るお手伝いをしてくれます。

まとめ:明確な意思表示が重要

遺留分減殺請求の申立書を作成する際には、相続財産を正確に把握し、あなたの請求内容を明確に記述することが重要です。 貯金についても、請求するのかしないのかを明確に示すことで、スムーズな手続きを進めることができます。 不明な点があれば、専門家に相談することを検討しましょう。

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