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遺言で指定された財産が処分されていた場合の遺産分割と遺贈について

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遺言(いごん)とは、自分の死後、自分の財産を誰にどのように引き継がせるかを、生前に意思表示しておくためのものです。遺言は、相続(そうぞく:亡くなった人の財産を、相続人が引き継ぐこと)に関する様々な問題を未然に防ぎ、自分の希望を反映させるために非常に重要な役割を果たします。
遺言にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは「自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)」と「公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)」です。自筆証書遺言は、遺言者が自分で全文を書き、署名・押印することで作成できます。公正証書遺言は、公証人(こうしょうにん:法律の専門家)が作成に関与し、公証役場(こうしょうやくば)で保管されるため、安全性が高いという特徴があります。
遺言で財産の分け方を指定することを「遺産分割の指定(いさんぶんかつのしてい)」と言います。遺言者が、特定の財産を特定の相続人に相続させる、という形で指定するのが一般的です。しかし、遺言の内容が必ずしも全て実現できるわけではありません。例えば、遺言で指定された財産が、遺言者が亡くなる前に既に処分されていた場合などです。
今回のケースでは、遺言で三男に「その他不動産」を相続させるという指定があったものの、その不動産が既に処分されていたため、三男は当初の遺言内容通りに不動産を相続することはできません。
この場合、遺言の該当部分は無効となり、残りの財産について、他の相続人との間で改めて遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ:相続人が集まって、どのように財産を分けるかを話し合うこと)を行うか、あるいは遺言の他の部分に従って分割することになります。遺言の中で、もし三男に「代わりの財産」を渡すような内容が書かれていれば、それに従うこともあります。
また、長男と次男が遺言の効力を主張した場合でも、三男が遺留分を侵害されている状況であれば、遺留分の減殺請求を行うことが可能です。遺留分とは、相続人に最低限保障されている相続分のことで、遺言によって侵害された場合、その侵害を回復するための請求ができます。
法定相続人以外の人への遺贈についてですが、遺贈する財産がほとんど残っていない場合、遺贈は履行(りこう:約束されたことを実行すること)できない可能性があります。遺贈の対象となる財産がない、あるいは不足している場合は、遺贈を受けた人は、遺贈された財産を受け取ることができなくなる場合があります。
遺言と相続には、民法という法律が深く関わっています。民法は、個人の財産や家族関係に関する法律であり、相続に関するルールも定めています。
具体的には、遺言の有効要件(ゆうこうようけん:有効な遺言として認められるための条件)、遺産分割の方法、遺留分に関する規定などが定められています。遺言を作成する際には、これらの法律を理解しておくことが重要です。
遺留分に関する規定は、相続人の権利を保護するためのものです。例えば、被相続人(ひそうぞくにん:亡くなった人)が、特定の相続人にすべての財産を相続させるという遺言を残した場合でも、他の相続人は、遺留分を侵害された部分について、その侵害を回復する権利を持っています。
遺言に関する誤解として多いのは、遺言があれば必ず自分の希望通りに財産が分割される、というものです。しかし、実際には、遺言の内容が法律に違反していたり、実現不可能であったりする場合、遺言の一部または全部が無効になることがあります。
例えば、遺言で特定の財産を特定の相続人に相続させるという指定があったとしても、その財産が既に存在しない場合、その部分は無効となります。また、遺留分を侵害するような遺言の場合、遺留分を侵害された相続人から減殺請求がなされる可能性があります。
もう一つの誤解は、遺言があれば、相続に関するトラブルが完全に回避できる、というものです。確かに、遺言は相続トラブルを未然に防ぐための有効な手段ですが、遺言の内容が不明確であったり、相続人同士の関係が悪化していたりする場合、遺言があっても相続トラブルが発生することがあります。
遺言を作成する際には、専門家(弁護士や行政書士など)に相談し、法的にも有効で、かつ実現可能な内容にする必要があります。
遺言を作成する際には、まず自分の財産を正確に把握することが重要です。不動産、預貯金、株式など、すべての財産をリストアップし、それぞれの財産の詳細(所在地、名義、金額など)を記録しておきましょう。
次に、誰にどの財産を相続させるかを具体的に決定します。相続人それぞれの状況や、自分の希望を考慮して、最適な分割方法を検討しましょう。例えば、特定の相続人に自宅を相続させ、他の相続人には預貯金を相続させる、といった方法があります。
遺言の形式は、自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらを選ぶか検討します。自筆証書遺言は手軽に作成できますが、紛失や改ざんのリスクがあります。公正証書遺言は、公証人が関与するため、安全性が高く、紛争のリスクを軽減できます。
遺言を作成したら、定期的に内容を見直すことも重要です。財産の状況が変わったり、相続人の状況が変わったりした場合、遺言の内容も変更する必要があるかもしれません。数年に一度は見直しを行い、必要に応じて遺言を書き換えましょう。
具体例として、Aさんのケースを考えてみましょう。Aさんは、長男に自宅を、次男に預貯金を、三男に株式を相続させるという遺言を作成しました。しかし、Aさんが亡くなる前に、三男が経営する会社が倒産し、株式の価値がなくなってしまいました。この場合、三男は株式を相続することができず、他の財産を相続することになる可能性があります。このような事態を避けるために、Aさんは、遺言を定期的に見直し、株式の状況に合わせて内容を変更しておくべきでした。
遺言に関する問題は、複雑で専門的な知識を必要とする場合があります。以下のような場合は、専門家(弁護士、行政書士など)に相談することをおすすめします。
専門家は、法律の専門知識に基づいて、遺言の作成や相続に関するアドバイスを提供してくれます。また、相続トラブルが発生した場合、交渉や調停、訴訟などの手続きをサポートしてくれます。
専門家を選ぶ際には、相続問題に関する経験や実績が豊富な人を選ぶことが重要です。また、相談しやすい雰囲気の専門家を選ぶことも大切です。複数の専門家に相談し、自分に合った専門家を見つけましょう。
今回の質問に対する重要なポイントをまとめます。
遺言は、自分の死後の財産の行方を決める重要なものです。今回の解説を参考に、遺言に関する知識を深め、適切な準備を進めてください。
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