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遺言の無効確認訴えと確認の利益:生前における訴えの難しさ
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遺言の内容に納得できないのに、なぜ生前では無効確認の訴えを起こせないのでしょうか?確認の利益とは一体何で、どのような場合に訴えを起こせるのでしょうか?遺言が無効になる可能性はあるのでしょうか?
遺言とは、人が自分の死後に財産をどのように相続させるかを決めておくための法律行為です(民法960条)。遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など、いくつかの種類があります。今回のような、遺言の内容に異議がある場合、その遺言の有効性(無効かどうか)を裁判で確認する訴えを「遺言の無効確認の訴え」と言います。
「確認の利益」とは、裁判によって争いの対象となっている権利関係について、将来発生する可能性のある紛争を未然に防ぐ、あるいは、すでに発生している紛争を解決するために、裁判所の判断を得ることで得られる利益のことです。簡単に言うと、「裁判をすることで、何か良いことが得られるか」ということです。
質問者さんのケースでは、遺言者が存命中に遺言の無効確認を求める訴えを起こすことを考えているようです。しかし、一般的に、遺言者が存命中は、遺言の無効確認の訴えには確認の利益がないとされています。これは、最高裁判所の判例(昭和31年10月4日判決)でも示されている通りです。
なぜなら、遺言者はいつでも遺言を変更・撤回できるからです。仮に裁判で遺言が無効と判決が出たとしても、遺言者がすぐに新しい遺言を作成すれば、その判決は意味をなさなくなってしまいます。そのため、生前における訴えは、実質的に効果がないと判断されるのです。
では、いつ遺言の無効確認の訴えを起こせるのでしょうか?それは、遺言者が死亡し、相続が開始された後です。相続が開始されると、遺言の内容に従って相続が行われますが、もし遺言が無効であれば、法定相続(法律で定められた相続方法)に従って相続が行われることになります。
相続開始後であれば、遺言の無効確認によって、相続のあり方が変わるため、確認の利益が認められるのです。つまり、裁判によって相続財産の帰属が変わることで、具体的な利益を得られる可能性があるということです。
この問題に関する主要な法律は、日本の民法です。民法は、相続、遺言、そして訴訟手続きなど、今回のケースに関連する多くの規定を定めています。特に、民法960条以降の遺言に関する規定と、民法第130条以降の訴訟に関する規定が重要となります。
遺言の無効確認の訴えは、遺言そのものの効力を争う訴えです。遺言の内容に不満があるからといって、必ずしも遺言が無効になるわけではありません。遺言が無効となるには、民法で定められた無効事由(例えば、強制・脅迫による作成など)に該当する必要があります。
遺言の内容に疑問点がある場合、まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家は、遺言書の内容を精査し、無効となる可能性や、訴訟を起こす場合の手続き、勝訴の見込みなどを適切にアドバイスしてくれます。
遺言書の内容が複雑であったり、法律的な知識が不足している場合は、専門家の助けが必要になります。特に、遺言書に不備があったり、遺言者の意思表示に問題があったりする場合には、専門家の判断が不可欠です。
遺言の無効確認の訴えは、相続開始後に行うことが重要です。生前では確認の利益がないため、訴えが認められない可能性が高いからです。遺言の内容に疑問がある場合は、専門家に相談し、適切な対応を検討しましょう。相続問題は複雑なため、専門家のアドバイスを受けることで、よりスムーズな解決が期待できます。
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