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還暦を過ぎた私の自筆遺言書作成…金融資産の明細を別紙で管理しても大丈夫?
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長女、長男には金融資産から〇〇円ずつ(法定遺留分を超える額)を相続させ、残りの金融資産と不動産などは全て妻に相続させる内容の自筆遺言書を作成したいです。資産の明細は別紙(遺言書とは別封筒)にパソコンで管理し、年に数回印刷、自筆署名捺印して遺言書とセットで保管しようと考えていますが、このやり方は法的に問題ないでしょうか?
自筆遺言とは、遺言者がすべて自筆で作成し、署名・押印した遺言書です(民法968条)。 形式が比較的簡単で、公証役場を利用する公正証書遺言(公正証書遺言は、公証役場で作成される遺言で、法的効力が非常に高いです。)と比べて費用もかかりません。しかし、その分、作成上の注意点が多く、紛争リスクも高くなる可能性があります。
質問者様の方法、つまり遺言書本文に「資産の明細は別紙参照」と記載し、別紙に詳細な資産内容を記載することは、必ずしも法的に問題ありません。しかし、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。
民法968条は自筆遺言の要件を定めており、遺言書全体が自筆であることを求めています。 別紙を使用する場合、その別紙が遺言書の「一部」として認められるためには、遺言書本文と別紙の間に明確な関連性があり、かつ別紙の内容が遺言の内容を補足するものである必要があります。 別紙が後から付け加えられたり、改ざんされたりしていないことを証明する必要があります。
「別紙参照」と記載すれば何でも良いわけではありません。別紙は、遺言書作成時点での資産状況を正確に反映したものでなければなりません。また、別紙は遺言書と同時に作成され、遺言書と同様に厳重に保管する必要があります。パソコンで作成したものを印刷しただけでは不十分で、印刷した別紙にも必ず自筆署名と押印をする必要があります。 さらに、別紙が遺言書の重要な一部であることを明確にする必要があります。
別紙を作成する際は、以下の点に注意しましょう。
* 遺言書本文に「別紙資産明細書を本遺言書の一部として参照する」といった明記をする。
* 別紙には、資産の種類、数量、口座番号などを具体的に記載する。
* 別紙にも、日付、署名、押印をする。
* 遺言書と別紙を同じ封筒に入れ、厳重に保管する。
* 年に数回、資産状況を更新し、新しい別紙を作成し、古いものは破棄する。
* 遺言書と別紙を保管していることを、信頼できる人に伝える。
例えば、銀行預金であれば、銀行名、口座番号、預金残高を記載し、証券であれば証券会社名、銘柄、数量などを記載します。 これらの情報が、遺言書作成日時点での正確な情報を反映していることを確認する必要があります。
遺言書の作成は、法律的な知識が必要な複雑な手続きです。 特に、高額な資産や複雑な相続関係がある場合は、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。 専門家のアドバイスを受けることで、遺言書の法的有効性を高め、相続トラブルを未然に防ぐことができます。 また、別紙の取り扱いについても、専門家に確認することで、後々のトラブルを回避できます。
自筆遺言で別紙を使用することは可能ですが、遺言書本文との関連性を明確にし、別紙にも自筆で署名・押印し、遺言書と同様に厳重に保管する必要があります。 資産状況が頻繁に変わる場合は、定期的に更新し、古い別紙は破棄しましょう。 複雑な相続や高額な資産の場合は、専門家への相談が不可欠です。 自筆遺言は、作成に不備があると無効となる可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。
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