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配偶者居住権と相続:父の持ち家が相続でどうなる?2つの家の場合も解説
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父が亡くなった場合、母が住んでいる家は、他の相続人には権利がなく、そのまま母の所有物になるのでしょうか?また、父が家を2件所有している場合、母と住んでいる家だけが配偶者居住権の対象になるのでしょうか?
民法改正により、2023年4月1日から「配偶者居住権」が創設されました。これは、配偶者が相続開始時(被相続人が亡くなった時)に居住している被相続人所有の建物(家)に住み続けることができる権利です。 簡単に言うと、夫が亡くなった場合、妻がその家で引き続き暮らせる権利が法律で認められたということです。 ただし、この権利は、相続の際に遺産分割協議(相続人同士で遺産をどのように分けるか話し合うこと)によって取得するものであり、自動的に発生するものではありません。 また、あくまでも「居住権」なので、建物の所有権(その建物を所有する権利)とは異なります。所有権は、遺産分割協議で他の相続人に渡る可能性もあります。
ご質問のケースでは、お父様が亡くなられた場合、お母様は配偶者居住権を取得できます。 これは、お母様が相続開始時にその家で居住していることが前提となります。 他の相続人には、その家に対する所有権はありますが、お母様の居住権を侵害することはできません。 お父様が家を2軒所有している場合、お母様が居住している家のみが配偶者居住権の対象となります。 他の家は、通常の遺産分割の対象となります。
関係する法律は、改正された民法です。 具体的には、民法第902条の2に配偶者居住権に関する規定が盛り込まれています。 また、遺産分割協議や相続登記といった手続きは、民法や不動産登記法に基づいて行われます。 これらの法律に基づき、公正証書(公証役場で作成される、法的効力のある文書)を作成することで、配偶者居住権を明確に設定できます。
配偶者居住権は、建物の所有権とは別物である点に注意が必要です。 居住権は、その家に住み続ける権利を保障するものであり、家を売ったり、人に貸したりする権利はありません。 また、配偶者居住権は、相続開始時に居住している建物にのみ適用されます。 相続後に別の家に引っ越した場合、新しい家には配偶者居住権は及ばない点に注意が必要です。
お父様が亡くなられた後は、まず、相続手続きを開始する必要があります。 相続財産を確定し、相続人全員で遺産分割協議を行い、配偶者居住権の取得について合意する必要があります。 協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることも可能です。 もし、他の相続人と揉め事が発生する可能性がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
例:
Aさん(父)が自宅(土地・建物)と別荘の2軒を所有。Bさん(母)とCさん(子)が相続人。Aさんが亡くなった後、Bさんが自宅に住み続けている場合、自宅にはBさんの配偶者居住権が発生します。別荘は、BさんとCさんで遺産分割協議を行い、所有権を決定します。
相続手続きは複雑で、法律的な知識が必要となる場面が多いです。 特に、相続人同士で意見が対立する場合や、高額な不動産を相続する場合などは、弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。 専門家は、法律に基づいた適切なアドバイスを行い、トラブルを回避するお手伝いをしてくれます。
配偶者居住権は、配偶者の生活安定を図るための重要な制度です。 しかし、所有権とは異なる点や、適用条件などを理解しておくことが重要です。 相続手続きは複雑なため、専門家のアドバイスを受けることで、円滑な相続を進めることができます。 ご自身の状況を踏まえ、必要であれば専門家にご相談ください。
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