• Q&A
  • 隣地の擁壁が越境している!撤去は要求できる?承諾書の取得と「時効取得」のリスクを解説

共有不動産・訳あり物件の無料相談
1 / -
売却を決めていなくても問題ありません。状況整理のご相談だけでもOKです。

ご入力いただいた内容は「お問い合わせ内容」としてまとめて送信されます。
無理な営業や即決のご案内は行いません。

共有持分についてお困りですか?

おすすめ3社をチェック

購入した土地に、隣地の擁壁の基礎部分が越境していることが分かりました。このままでは駐車場が作れず困っています。越境している部分の撤去を、隣地の所有者に要求することはできるのでしょうか?

結論から言うと、原則として、あなたは隣地の所有者に対して越境部分の撤去を要求する権利があります。

しかし、擁壁の基礎という構造上重要な部分の撤去は、相手に多大な負担を強いるため、現実的にはまず話し合いによる解決を目指すべきです。具体的には、将来のトラブルを防ぐための「承諾書(覚書)」を取り交わすのが一般的な対応となります。この記事では、越境されたあなたが持つ法的な権利と、現実的な解決策としての承諾書の重要性、そして放置した場合のリスクについて詳しく解説します。

あなたが持つ法的な権利:「所有権に基づく妨害排除請求権」

まず、ご自身の法的な立場を正確に理解することが重要です。あなたの土地に、あなたの許可なく隣地の擁壁が存在している状態は、あなたの「所有権」が侵害されている状態です。

土地の所有権とは?

土地の所有権とは、その土地を自由に使用・収益・処分できる、非常に強力な権利です。隣地の擁壁があなたの土地にはみ出している(越境している)ということは、その部分をあなたが駐車場として自由に「使用」する権利が妨害されていることを意味します。

撤去を要求する権利

この所有権の妨害に対し、あなたは、その妨害を排除すること、つまり**越境部分の撤去を要求する権利(所有権に基づく妨害排除請求権)**を持っています。これが、あなたの最も強い法的な切り札です。

しかし、この権利を直ちに裁判などで主張するのは、得策とは言えない場合があります。擁壁の基礎の撤去は、隣地所有者にとって莫大な費用がかかるだけでなく、隣地の安全性にも関わるため、紛争が長期化・泥沼化する可能性があるからです。

現実的な解決策:「承諾書(覚書)」の作成

そこで、最も現実的で円満な解決策として広く用いられているのが、隣地所有者との間で**「越境に関する承諾書(覚書)」**を取り交わすことです。これは、現状の問題を双方が確認し、将来のルールを明確にするための重要な書類です。

承諾書に盛り込むべき5つの重要項目

将来のあなた、そして土地を継ぐ子供たちの代までトラブルの種を残さないために、承諾書には最低限、以下の5つの項目を盛り込みましょう。

  1. 越境の事実の確認:どちらの土地の、どの部分に、相手の擁壁が、どれくらい越境しているか、という事実をお互いが確認したことを明記します。(土地家屋調査士が作成した測量図などを添付するのがベストです)
  2. 所有権の確認:越境している土地の所有権が、あなたにあることを隣地所有者が認めることを明記します。
  3. 現状での越境の容認:あなたは、現在の擁壁がそのままの状態で存在することを、現時点では認める、ということを記載します。
  4. 【最重要】将来の建て替え時の撤去義務:「将来、隣地所有者が擁壁や建物を建て替える際には、越境部分を撤去し、境界線を遵守すること」を約束してもらいます。これが、この承諾書の核心です。
  5. 第三者への承継:この承諾書の内容は、あなたや隣地所有者が土地を売却した場合など、将来の新しい所有者に対しても効力が及ぶことを明記します。

この承諾書を作成し、双方が署名・捺印して保管しておくことで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。

この記事の重要ポイント

  • ポイント1:隣地の擁壁があなたの土地に越境している場合、あなたには法的にその撤去を要求する権利があります。
  • ポイント2:しかし、現実的な解決策は、将来の建て替え時には撤去することなどを定めた**「承諾書(覚書)」を、隣地所有者と取り交わすことです。
  • ポイント3:もし越境を承諾書なしで長期間放置すると、隣地所有者にその土地を「時効取得」**され、あなたの所有権が失われるリスクがあるため、必ず書面での対応が必要です。

越境を放置する最大のリスク:「時効取得」

「事を荒立てたくないから」と、この問題を放置するのは最も危険な選択です。なぜなら、「時効取得」という制度によって、あなたがその土地の所有権を失ってしまう可能性があるからです。

「時効取得」とは、他人の土地であっても、一定期間(10年または20年)、自分の土地であると信じて平穏に占有し続けることで、その土地の所有権が法的に認められてしまう制度です。承諾書を作成しておくことで、隣地所有者は「あなたの土地であることを認めた上で、使わせてもらっている」という立場になり、時効取得が成立するのを防ぐことができるのです。

まとめ:権利の主張より、将来のための「合意形成」を

最後に、今回のポイントを整理します。

  • あなたの権利:越境部分の撤去を要求できる。
  • 現実的な落としどころ:すぐに撤去は求めない代わりに、将来の撤去などを約束する「承諾書」を作成する。
  • 放置のリスク:時効取得によって、土地の一部を失う可能性がある。

新築を前に、予期せぬ境界トラブルに見舞われたご心労は計り知れません。しかし、これはあなたの土地の権利を将来にわたって確定させるための、重要な機会でもあります。感情的に撤去を迫るのではなく、お互いの状況を尊重しつつ、書面で将来の約束を交わすという大人の対応が、円満な解決への鍵となります。

境界の確定や承諾書の作成は、専門的な知識が必要です。手続きを確実に行い、将来に禍根を残さないためにも、まずは土地家屋調査士や司法書士といった専門家に相談し、隣地所有者との交渉を進めていくことを強くお勧めします。

Editor's Picks

共有持分についてお困りですか?

おすすめ3社をチェック

pagetop