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隣家の建築工事と越境問題:時効取得の可能性と注意点
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隣家の建築工事で、我が家の軒の越境問題が改めて浮上しました。口約束だけで、軒を後退させることを確認しましたが、書面による合意がないため不安です。最悪の場合、時効取得(※所有権を主張する権利が消滅時効によって取得されること)は可能でしょうか?また、青地の払い下げも未確定な状況で、どうすれば良いのか困っています。
不動産の境界は、登記簿(※不動産の所有者や権利関係を記録した公的な書類)に記載されているものが原則です。しかし、実際には境界線が不明確な場合や、隣地との間に越境(※境界線を越えて建築物などが存在すること)が存在する場合があります。
時効取得とは、20年間、他人の土地を平穏かつ公然と占有し続けると、所有権を取得できる制度です(民法第162条)。ただし、単なる占有だけでは不十分で、所有者の意思表示(※所有者がその土地を所有していることを明確に示す行為)がない場合や、占有に悪意(※故意に他人の権利を侵害する意思)がある場合は、時効取得は認められません。
質問者様のケースでは、60年以上前から曖昧な境界線の中で、各家が勝手な形で建築物を建ててきた歴史があります。そのため、時効取得の可能性はゼロではありません。しかし、いくつかの課題があります。
まず、20年間の平穏かつ公然とした占有を証明する必要があります。これは、写真や証人などの証拠によって裏付けする必要があります。さらに、隣家との間で口約束があったこと、青地の払い下げが未確定であることなど、時効取得を妨げる要素も存在します。
この問題には、民法(特に所有権、時効取得に関する規定)と不動産登記法が関係します。民法は所有権や占有、時効取得の要件を規定しており、不動産登記法は不動産の登記に関する手続きを定めています。
時効取得は、容易に認められるものではありません。20年間という長い期間、占有が平穏かつ公然であること、悪意がないことなどを厳格に証明する必要があります。口約束や曖昧な状況では、時効取得は難しいと考えるべきです。
まずは、既存の建築物の写真、境界を示す古い地図、証人などの証拠を集めることが重要です。隣家との間の口約束についても、記録があれば証拠として活用できます。しかし、これらの証拠だけでは不十分な可能性が高いです。
専門家(弁護士、土地家屋調査士)に相談し、状況を正確に把握し、最適な解決策を検討することを強くお勧めします。
今回のケースは、境界線が曖昧で、複数の権利関係が絡み合っているため、非常に複雑です。専門家の知識と経験なしに、適切な解決策を見つけるのは困難です。訴訟リスクも考慮すると、専門家に相談することが最善策です。
時効取得の可能性はありますが、成功する保証はありません。曖昧な状況を放置せず、早急に専門家に相談し、適切な法的措置を講じることを強く推奨します。境界確定や青地の払い下げ問題も合わせて解決することで、将来的なトラブルを回避できます。
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