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離婚調停における財産分与と慰謝料請求:実家と預金、そして30年以上の結婚生活の価値

【背景】
* 私の両親が離婚調停中で、第一回調停を控えています。
* 離婚原因は父の飲酒や度重なる無断家出です。(父は否認)
* 母は父名義の家屋と敷地の所有権移転を希望していますが、父は現金での支払い能力が低く、合意に至っていません。
* 婚姻期間は30年以上で、母は長年義父母の介護を担ってきました。

【悩み】
父名義の家屋と敷地を財産分与として受け取ることが難しい場合、預金の折半と慰謝料を合わせて家屋・敷地と同等の価値を得ることは可能でしょうか?現金での支払いができない場合、母は泣き寝入りするしかないのでしょうか?また、30年以上の結婚生活と義父母介護の負担を考慮した、より公正な解決策はあるのでしょうか?

預金折半と慰謝料で家屋・敷地の価値相当の請求は可能。協議不成立なら調停で主張。

離婚における財産分与と慰謝料の基礎知識

離婚の際に、夫婦が共有してきた財産をどのように分けるかを決めるのが「財産分与」(さいさんぶんよ)です。これは、婚姻中に築いた財産の公平な分割を目的としています。一方、「慰謝料」(いしゃくひょう)は、離婚によって一方の配偶者が受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。不貞行為や暴力を理由とした離婚の場合に多く請求されますが、今回のケースのように、長年の婚姻生活における貢献度や、相手方の非行を考慮して請求されることもあります。

今回のケースへの直接的な回答

ご質問のケースでは、ご両親が離婚に合意しているものの、財産分与の方法で折り合えず、特に父名義の家屋と敷地の扱いについて悩まれています。父名義の家屋と敷地は父の「特有財産」(とくゆうざいさん)(個人の財産)である可能性が高いため、母への所有権移転は難しいでしょう。しかし、共有財産である預金の一千万円の折半と、父の行為による精神的苦痛に対する慰謝料を請求することで、家屋と敷地の価値に相当する金額を得ることが、法的にも可能です。現金での支払いが困難な場合でも、調停において、預金と慰謝料を合わせた金額を、家屋と敷地の評価額と同等と主張することはできます。

関係する法律や制度

民法760条以下に財産分与に関する規定があり、夫婦間の共有財産は離婚時に公平に分割されるべきと定められています。慰謝料請求については、民法770条が根拠となります。また、調停は家庭裁判所で行われ、裁判官の助力を得ながら、当事者間で合意形成を目指します。調停が不成立の場合は、裁判に移行します。

誤解されがちなポイントの整理

「家屋・敷地が父名義だから、母は何も得られない」という誤解は避けましょう。家屋・敷地が父の特有財産であっても、30年以上の婚姻期間と義父母介護の負担は、慰謝料請求において重要な要素となります。裁判所は、婚姻期間の長さ、家事労働や介護への貢献度、離婚原因の責任などを総合的に判断して、慰謝料額を決定します。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

まず、家屋と敷地の評価額を不動産鑑定士に依頼して正確に算出することが重要です。その上で、預金折半額と、家屋・敷地の評価額との差額を慰謝料として請求する具体的な算定根拠を準備しましょう。調停では、母が長年担ってきた家事労働や義父母介護の負担を具体的に説明し、その貢献度を主張することが重要です。写真や証言など、証拠となる資料を準備しておくと効果的です。

専門家に相談すべき場合とその理由

離婚問題は複雑で、法律知識が不足していると不利な条件を受け入れる可能性があります。弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、適切な法的アドバイスを受け、ご自身の権利を保護できます。特に、財産分与や慰謝料の額、調停・裁判手続きなど、専門的な知識が必要な場面では、専門家のサポートが不可欠です。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

父名義の家屋・敷地であっても、預金折半と慰謝料請求によって、家屋・敷地の価値相当の補償を得られる可能性があります。30年以上の婚姻期間と義父母介護の負担は、慰謝料請求において大きな強みとなります。しかし、複雑な法律問題であるため、弁護士や司法書士などの専門家への相談が強く推奨されます。正確な財産評価、適切な請求額の算定、調停・裁判手続きのサポートを受けることで、母にとってより良い解決を目指せるでしょう。

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