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非上場会社株式の相続:5年分の決算書から正当な評価額を見極める方法

【背景】
* 父が亡くなり、遺産相続が発生しました。
* 遺産は不動産、非上場会社の株式、預金です。
* 遺言書には預金の相続分が記載されていますが、法定遺留分には満たない可能性があります。
* 父の再婚後、父と新しい家族が住む一軒家を相続することへの不満があります。
* 法定遺留分の減殺請求を検討しています。
* 知人から、非上場会社の株式評価の正当性を確かめるために5年分の決算書を確認するようアドバイスを受けました。
* しかし、決算書の読み解きに自信がありません。

【悩み】
非上場会社の株式の評価が正当かどうかを、5年分の決算書からどのように確認すれば良いのか知りたいです。特に、純資産方式で評価されている場合の具体的な確認方法を知りたいです。

純資産方式による株式評価の妥当性を、決算書から確認する方法を解説します。

相続における非上場会社株式の評価:純資産方式とは

相続において、非上場会社の株式を評価する方法はいくつかありますが、質問者様のケースでは「純資産方式」が使われているようです。純資産方式とは、会社の純資産(資産から負債を引いたもの)を、株式数で割ることで1株あたりの価値を算出する方法です。(例:純資産1000万円 ÷ 発行済株式数1000株 = 1株あたり1万円)。 これは、会社が解散した場合に株主に分配される金額を推定する方法です。 しかし、会社の将来性や収益力は考慮されません。

純資産方式による株式評価の妥当性の確認方法

5年分の決算書から、純資産方式による株式評価の妥当性を確認するには、以下の点をチェックする必要があります。

1. 資産の評価額の妥当性

決算書の「貸借対照表」(バランスシート)を確認します。 土地・建物、機械設備、在庫など、各資産の評価額が適正かどうかを確認します。 古い機械や陳腐化した在庫は、帳簿上の金額より低い価値しか持たない可能性があります。 不動産の場合は、不動産鑑定士による評価額と比較検討する必要があるでしょう。

2. 負債の正確性

同じく「貸借対照表」で、負債の額が正確に計上されているかを確認します。 隠れた負債(例えば、将来発生する可能性のある訴訟費用など)がないか注意深く確認する必要があります。

3. 純資産の推移

5年分の決算書の「貸借対照表」を比較することで、純資産の推移を確認します。 純資産が右肩上がりであれば、会社の財務状況は良好と言えるでしょう。 逆に、減少傾向にある場合、その原因を分析する必要があります。 例えば、継続的な赤字や、大きな減損損失(資産価値の減少)が発生している可能性があります。

4. 利益剰余金の妥当性

「損益計算書」(PL)を確認し、利益剰余金の推移を確認します。 利益剰余金は、過去に計上された利益から配当などを差し引いたものです。 純資産に含まれる重要な要素であり、その金額が妥当かどうかを確認する必要があります。 利益が操作されていないか、適切な会計基準が適用されているかなども確認しましょう。

5. その他の重要な事項

決算書の「注記」をよく読んでください。 注記には、決算書本体には記載されていない重要な情報が記載されています。 例えば、重要な訴訟や、将来発生する可能性のある大きな支出などが記載されている可能性があります。

関係する法律や制度

相続税の申告においては、税務署が株式の評価額について異議を唱える可能性があります。 この場合、税理士などの専門家の意見を参考に、適切な評価額を主張する必要があります。 また、法定相続分(民法第900条)の侵害については、減殺請求(民法第917条)を行うことができます。

誤解されがちなポイント

純資産方式は、会社の将来性や収益力を考慮しないため、必ずしも会社の真の価値を反映しているとは限りません。 成長性の高い企業であれば、純資産方式による評価額よりも高い価値を持つ可能性があります。 逆に、業績が悪化している企業であれば、純資産方式による評価額よりも低い価値しか持たない可能性があります。

実務的なアドバイス

決算書の読み解きに自信がない場合は、税理士や公認会計士などの専門家に相談することをお勧めします。 専門家は、決算書を正確に分析し、株式の適正な評価額を算出することができます。

専門家に相談すべき場合とその理由

* 決算書の読み解きに自信がない場合
* 純資産方式以外の評価方法も検討したい場合
* 税務署から評価額について異議を唱えられた場合
* 法定相続分の減殺請求を検討している場合

これらの場合は、専門家のアドバイスを受けることで、より正確な評価を行い、相続手続きをスムーズに進めることができます。

まとめ

非上場会社の株式評価は、専門的な知識と経験が必要です。 5年分の決算書を丁寧に分析し、資産、負債、純資産の推移を把握することで、純資産方式による評価額の妥当性を確認できます。 しかし、自信がない場合は、税理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。 相続は人生における大きな出来事であり、専門家の力を借りながら、冷静かつ適切な手続きを進めることが重要です。

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