テーマの基礎知識:告知事項とは?

賃貸物件を探す際に「告知事項」という言葉を聞くことがあります。これは、その物件で過去に起きた出来事のうち、入居者の心理的な負担(心理的瑕疵(かし))に関わる可能性のあるものを指します。
具体的には、人が亡くなった、自殺があった、事件があったなどが該当します。
告知事項は、不動産会社(仲介業者)が、借り主に説明する義務があります(重要事項説明)。

告知事項がある物件は、一般的に家賃が安く設定される傾向があります。
これは、入居者が心理的な負担を感じる可能性があるため、その分を考慮して家賃を下げるという考え方からです。
ただし、告知事項の内容や、その物件の状況によって、家賃の割引額は異なります。

今回のケースでは、お部屋で人が亡くなったという告知事項があるとのことです。
この告知事項が、ご自身の希望する部屋に直接関係ない場合でも、物件全体の状況として、気になるかもしれません。

今回のケースへの直接的な回答:入居を検討する上でのポイント

今回のケースでは、ご希望の部屋は3階で、12月まで入居者がいたとのことですので、まずはその部屋に告知事項がないことを確認しましょう。
告知事項がないのであれば、基本的には問題ありません。
ただし、マンション全体として、築年数が古いことや、一部の部屋で告知事項があることを踏まえて、以下の点を検討することをおすすめします。

  • 告知事項の内容を確認する: どのような状況で人が亡くなったのか、詳細な情報を不動産会社に確認しましょう。事件性があったのか、病死だったのかなど、内容によってご自身の感じる心理的な負担は異なります。
  • 物件全体の状況を確認する: 売りに出されている部屋が多い理由を、不動産会社に確認しましょう。単に築年数が古いためなのか、それとも何か問題があったのかを把握することで、判断材料になります。
  • 内見時の印象を思い出す: 内見時に、物件全体の雰囲気や、ご自身の部屋の状態をよく観察したはずです。改めて、その時の印象を振り返り、ご自身の気持ちと向き合いましょう。
  • 周辺環境を確認する: マンションの周辺環境も重要です。騒音や日当たり、交通の便など、快適な生活を送る上で必要な条件を確認しましょう。
  • 家賃や条件を確認する: 家賃や敷金、礼金などの条件が、相場と比較して適切かどうかを確認しましょう。告知事項がある部屋の場合、家賃が安く設定されている可能性があります。

これらの情報を総合的に考慮し、ご自身の納得できる結論を出すことが大切です。

関係する法律や制度:宅地建物取引業法と告知義務

不動産取引に関する法律として、宅地建物取引業法(宅建業法)があります。
この法律は、不動産取引の公正さと安全性を確保するために定められています。
今回のケースで関係するのは、宅建業法で定められた「重要事項説明義務」です。

不動産会社は、契約前に、物件の状況や契約条件について、借り主に詳しく説明する義務があります。
告知事項がある場合も、この重要事項説明の中で説明されます。
具体的には、いつ、どのような状況で、誰が亡くなったのかなどを説明する義務があります。

告知義務の対象となるのは、人が亡くなった場合だけではありません。
事件や事故、火災など、入居者の心理的な負担となる可能性がある事柄も、告知義務の対象となる場合があります。
告知義務の範囲や程度は、裁判例などによって判断されることがあります。

誤解されがちなポイント:告知事項はすべて開示される?

告知事項については、誤解されやすいポイントがいくつかあります。

  • すべての事柄が告知されるわけではない: 告知義務は、入居者の心理的な負担に関わる事柄に限られます。例えば、自然災害による建物の損傷や、設備の故障などは、告知事項に該当しない場合があります。
  • 告知期間に制限がある場合がある: 告知事項の告知期間は、法律で明確に定められているわけではありません。一般的には、事件や事故が発生してから、数年程度が目安とされています。ただし、告知期間が過ぎても、不動産会社が自主的に告知するケースもあります。
  • 告知義務違反があった場合: 不動産会社が、告知義務を怠った場合、損害賠償請求や契約解除の対象となる可能性があります。ただし、告知義務違反を証明するためには、証拠が必要となります。

告知事項に関する情報は、必ずしもすべて開示されるわけではありません。
気になる点があれば、不動産会社に積極的に質問し、情報を収集することが大切です。

実務的なアドバイスや具体例:情報収集と判断のポイント

実際に物件を探す際には、以下の点を参考に、情報収集と判断を進めましょう。

  • 不動産会社とのコミュニケーション: 不動産会社には、物件の詳細な情報を積極的に質問しましょう。告知事項の内容だけでなく、物件の築年数、修繕履歴、周辺環境など、気になる点はすべて確認しましょう。
  • 物件の見学: 実際に物件を見学し、部屋の広さや間取り、日当たりなどを確認しましょう。可能であれば、近隣の住民に話を聞いてみるのも良いでしょう。
  • 周辺相場の調査: 周辺の類似物件の家賃相場を調べ、比較検討しましょう。告知事項がある物件は、家賃が安く設定されている可能性があります。
  • 契約書の確認: 契約書の内容をよく確認し、不明な点があれば、不動産会社に質問しましょう。特に、契約解除に関する条項や、損害賠償に関する条項は、しっかりと確認しておきましょう。

例えば、過去に自殺があった物件の場合、不動産会社は、その事実を告知する義務があります。
告知された場合、入居者は、その事実を受け入れるかどうかを判断し、契約するかどうかを決定します。
もし、告知義務違反があった場合、入居者は、損害賠償請求や契約解除を求めることができます。

専門家に相談すべき場合とその理由

今回のケースで、専門家に相談した方が良い場合もあります。

  • 告知事項の内容が不明確な場合: 告知事項の内容が曖昧で、詳細が分からない場合は、弁護士や不動産鑑定士などの専門家に相談し、アドバイスを求めることができます。
  • 不動産会社の説明に納得できない場合: 不動産会社の説明に納得できない場合や、疑問点がある場合は、他の不動産会社に相談したり、弁護士に相談したりするのも良いでしょう。
  • 契約に関するトラブルが発生した場合: 契約に関するトラブルが発生した場合(告知義務違反など)、弁護士に相談し、法的アドバイスを受けることが重要です。

専門家は、法律や不動産に関する専門知識を持っており、客観的な視点から、適切なアドバイスをしてくれます。
専門家に相談することで、安心して物件探しを進めることができます。

まとめ:今回の重要ポイントのおさらい

今回のケースでは、駅近の築40年マンションの賃貸物件で、告知事項がある部屋があるという状況でした。
入居を検討する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 告知事項の内容を確認する: どのような状況で人が亡くなったのか、詳細な情報を不動産会社に確認しましょう。
  • 物件全体の状況を確認する: 売りに出されている部屋が多い理由を、不動産会社に確認しましょう。
  • ご自身の希望する部屋に告知事項がないか確認する: ご自身の部屋に告知事項がない場合でも、マンション全体の状況を考慮して判断しましょう。
  • 情報収集を徹底する: 不動産会社に積極的に質問し、物件の詳細な情報を収集しましょう。
  • 専門家への相談も検討する: 告知事項の内容が不明確な場合や、契約に関するトラブルが発生した場合は、専門家に相談しましょう。

これらのポイントを踏まえ、ご自身の納得できる物件選びをしてください。