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高齢者との共有マンション、賃貸可能期間は?成年後見・共有物分割請求も解説

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マンションを賃貸に出すにはどうすれば良いのか、また、賃貸できない場合、共有物分割請求や共有持分放棄といった選択肢について、具体的な方法や手続き、法的リスクなどを知りたいです。
不動産を複数人で所有する状態を「共有」といいます。今回のケースでは、質問者さんと祖母がマンションを共有しています。共有者の権利は、持ち分に応じて決定されます。質問者さんの持ち分が7/10と過半数を超えているため、原則として単独で賃貸契約を結ぶことができます。
しかし、祖母が契約内容を理解できない状態(=行為能力(契約能力)に制限がある状態)である場合、問題が生じます。民法では、行為能力に制限のある者が不利な契約を結ぶことを防ぐための規定があります。
成年後見制度とは、認知症や精神疾患などで判断能力が不十分な高齢者などを保護するための制度です。成年後見人が選任されると、その人が代わりに契約などの重要な意思決定を行います。成年被後見人(完全に判断能力がないと判断された人)、準成年後見人(判断能力が不十分な人)、任意後見人(本人が事前に後見人を指定した場合)の3種類があります。
祖母の判断能力が著しく低下している場合、たとえ質問者さんが過半数の持ち分を有していても、賃貸契約の有効性に疑問が生じます。不動産会社が最長3年しか賃貸できないと言ったのは、この点を懸念しているためです。3年を超える賃貸契約は、将来、祖母やその相続人から契約無効を主張される可能性があるからです。
このケースでは、民法(特に共有に関する規定と、行為能力に関する規定)と成年後見制度が深く関わってきます。民法は、共有不動産の管理や処分に関するルールを定めており、成年後見制度は、判断能力が不十分な人の権利を守るための制度です。
成年後見制度を利用すれば、賃貸契約の問題は解決します。しかし、成年後見開始の決定を得るには、裁判所の審判が必要であり、手続きに時間がかかります。また、母親の反対があるため、簡単に進められない可能性があります。
賃貸契約を3年で打ち切られたとしても、それは契約の無効を意味するわけではありません。契約期間満了後に更新を拒否される可能性はありますが、それまでの家賃収入を得られる可能性はあります。
現状を打破するには、弁護士に相談することが最善策です。弁護士は、祖母の状況を正確に判断し、賃貸契約の有効性、成年後見制度の利用可能性、共有物分割請求、共有持分放棄といった選択肢について、適切なアドバイスをしてくれます。
例えば、弁護士は、祖母の判断能力を専門的に評価し、賃貸契約が可能かどうかを判断します。また、母親との交渉をサポートしたり、成年後見開始の申立てを代理で行うことも可能です。
祖母の判断能力が不明確な場合、あるいは母親との関係が複雑な場合は、弁護士に相談することを強くお勧めします。弁護士は法律の専門家であり、最適な解決策を提案してくれます。
共有物分割請求や共有持分放棄の手続きには、司法書士の専門知識が必要となる場合もあります。
高齢者との共有不動産の賃貸は、複雑な法的問題を含みます。祖母の判断能力、母親との関係、そして将来的な相続問題などを総合的に考慮し、弁護士などの専門家に相談して、最適な解決策を見つけることが重要です。早めの行動が、将来的な損失を最小限に抑えることに繋がります。 安易な判断は、かえって事態を複雑化させる可能性があることを忘れないでください。
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