不動産価格の基礎知識:なぜ価格は一つじゃない?
不動産の価格は、一見すると単純なようでいて、実は非常に多くの要素が複雑に絡み合って決まります。
土地や建物という「モノ」の価値だけでなく、そこから生まれる「お金」の価値も考慮されるからです。
このため、不動産の価格には、大きく分けて「時価」、「公示価格」、「固定資産税評価額」など、様々な種類があります。
時価(じか)は、実際に不動産が取引される際の価格で、市場の需要と供給によって変動します。
売主と買主の合意によって決定されるため、不動産の種類や状態、立地条件、周辺の環境など、様々な要因が価格に影響します。
公示価格(こうじかかく)は、国土交通省が公表する、土地の客観的な評価額です。
地価公示価格とも呼ばれ、毎年1月1日時点の土地の価格が、専門家によって評価されます。
土地の取引の目安となるほか、相続税や固定資産税の計算にも利用されます。
固定資産税評価額(こていしさんぜいひょうかがく)は、固定資産税を計算するための基準となる価格です。
市町村が評価し、3年に一度見直されます。公示価格の7割程度が目安とされています。
1棟マンション・アパートの価格:土地と建物の価値をどう見る?
1棟マンションやアパートの価格を考える際、まず土地と建物のそれぞれの価値を評価する必要があります。
土地の価値は、立地条件、周辺環境、用途地域などによって大きく左右されます。
建物の価値は、築年数、構造、設備、間取りなどによって評価されます。
しかし、それだけではありません。
1棟マンションやアパートは、入居者からの家賃収入という「収益」を生み出すことが大きな特徴です。
そのため、不動産の価格は、その収益性も考慮して評価されます。
この収益性を評価する代表的な指標が「利回り」です。
利回り(りまわり)とは、不動産投資における収益性の指標で、投資額に対する年間の家賃収入の割合を示します。
利回りが高いほど、投資効率が良いと評価されます。
利回りには、大きく分けて「表面利回り」と「実質利回り」があります。
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表面利回り(ひょうめんりまわり)は、年間の家賃収入を物件価格で割ったものです。
例えば、年間家賃収入が1000万円、物件価格が2億円の場合、表面利回りは5%となります。 -
実質利回り(じっしつりまわり)は、年間の家賃収入から、管理費や修繕費などの費用を差し引いた金額を物件価格で割ったものです。
実質利回りの方が、より正確な収益性を示します。
価格算出の基本的な流れ:土地と建物の値段を足すだけじゃない!
質問者様が仰るように、土地の値段と建物の値段を足すという考え方も、全くの間違いではありません。
しかし、1棟マンションやアパートの場合は、それだけでは不十分です。
なぜなら、これらの物件は、入居者からの家賃収入という「収益」を生み出すことを目的としているからです。
価格を算出する基本的な流れは、以下のようになります。
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土地の価格を評価する。
土地の坪単価を参考に、土地の面積を掛け合わせます。
坪単価は、周辺の土地の取引事例や公示価格などを参考にします。 -
建物の価格を評価する。
建物の構造や築年数、設備などを考慮して、建物の価値を評価します。
新築の場合は、建築費を参考にすることができます。
中古の場合は、減価償却(時間の経過とともに価値が減ること)を考慮します。 -
家賃収入を計算する。
現在の家賃収入や、将来的に見込める家賃収入を計算します。
空室率や、修繕費などの費用も考慮します。 -
利回りを考慮する。
周辺の類似物件の利回りなどを参考に、適切な利回りを設定します。 -
収益価格を算出する。
家賃収入から費用を差し引いた金額を、利回りで割ることで、収益価格を算出します。
収益価格は、その物件の投資価値を示す重要な指標となります。 -
最終的な価格を決定する。
土地と建物の価格、収益価格などを総合的に考慮して、最終的な価格を決定します。
関係する法律と制度:不動産を取り巻くルールたち
不動産取引には、様々な法律や制度が関係しています。
主なものとしては、以下のようなものがあります。
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宅地建物取引業法(たくちたてものとりひきぎょうほう):不動産取引の公正さを保つための法律です。
不動産会社は、この法律に基づいて営業しています。 -
建築基準法(けんちくきじゅんほう):建物の構造や用途などに関するルールを定めた法律です。
安全で快適な住環境を確保するためのものです。 -
都市計画法(としけいかくほう):都市の計画的な発展を促すための法律です。
用途地域や建ぺい率、容積率などを定めています。 - 固定資産税(こていしさんぜい)と都市計画税(としけいかくぜい):不動産を所有している人が支払う税金です。
- 不動産鑑定評価(ふどうさんかんていひょうか):不動産の適正な価格を評価する専門家の仕事です。
誤解されがちなポイント:土地の値段だけで決まるわけじゃない!
不動産の価格は、土地の値段だけで決まるわけではありません。
特に1棟マンションやアパートの場合、建物の価値や収益性も非常に重要な要素となります。
よくある誤解として、以下のようなものがあります。
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土地の価格だけで判断してしまう。
土地の価格が高いから、必ずしも良い物件とは限りません。
建物の状態や、周辺の環境、収益性なども考慮する必要があります。 -
表面利回りだけで判断してしまう。
表面利回りは、あくまでも目安です。
管理費や修繕費などの費用を考慮した、実質利回りも確認する必要があります。 -
築年数が古いから、価格が安いと決めつけてしまう。
築年数が古くても、リフォームやリノベーション(改修)によって、価値を高めることができます。
建物の状態や、将来的な修繕計画なども考慮する必要があります。
実務的なアドバイス:価格調査のヒント
1棟マンションやアパートの価格を調べるには、様々な方法があります。
以下に、実務的なアドバイスをいくつかご紹介します。
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不動産会社の査定を利用する。
複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の相場を把握しましょう。
査定は無料で行ってくれる場合が多いです。 -
レインズ(REINS)を活用する。
レインズは、不動産会社が利用する物件情報データベースです。
過去の取引事例などを参考に、価格の相場を調べることができます。 -
周辺の類似物件を比較する。
同じような条件の物件の価格を比較することで、適正な価格を判断することができます。
間取り、築年数、設備、立地条件などを比較しましょう。 -
不動産鑑定士に相談する。
より正確な価格を知りたい場合は、不動産鑑定士に相談することも検討しましょう。
専門的な知識と経験に基づいて、客観的な評価をしてくれます。
専門家に相談すべき場合:プロの力を借りよう
不動産取引は、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。
以下のような場合は、専門家への相談を検討しましょう。
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不動産の売買を検討している場合。
不動産会社や、弁護士、税理士など、専門家のアドバイスを受けることで、安心して取引を進めることができます。 -
相続や贈与に関する問題がある場合。
専門家のアドバイスを受けることで、税金対策や、トラブルを回避することができます。 -
不動産の価値を正確に評価したい場合。
不動産鑑定士に依頼することで、客観的な評価を受けることができます。 -
不動産に関するトラブルが発生した場合。
弁護士に相談することで、法的観点からのアドバイスを受けることができます。
まとめ:価格算出のポイントをおさらい
1棟マンションやアパートの価格は、土地と建物の価値、家賃収入、利回りなど、様々な要素を総合的に考慮して決定されます。
価格を算出する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 土地の価格は、周辺の取引事例や公示価格などを参考に評価する。
- 建物の価値は、構造、築年数、設備などを考慮して評価する。
- 家賃収入から費用を差し引いた金額を、利回りで割ることで、収益価格を算出する。
- 複数の専門家(不動産会社、不動産鑑定士など)に相談し、客観的な意見を聞く。
不動産取引は、高額な買い物です。
不明な点があれば、専門家に相談し、慎重に進めるようにしましょう。

