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10年以上放置した不動産収益の返還請求…時効や黙認は成立する?相続トラブルの解決策
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10年以上も前のことなので、収益の返還請求はできないのでしょうか?また、10年以上の口約束による管理を一度も請求しなかったことで、不動産収益の権利を放棄した(譲渡した)と見なされるのでしょうか?不安です。
このケースは、民法(私人間の権利義務を定めた法律)上の「不当利得」と「時効」の問題が絡みます。不当利得とは、法律上の根拠なく利益を得た場合に、その利益を返還する義務を負うことです。弟は、あなたの不動産収益を管理し、使用していましたが、あなたから明確な委任(代理権を与えること)を受けていたわけではありません。そのため、弟(そして現在は弟の嫁)は不当利得に該当する可能性があります。
一方、時効とは、権利を行使できる期間が法律で定められている制度です。請求権には消滅時効(権利を行使できる期間が過ぎると権利が消滅する)があります。 不当利得請求権の消滅時効は、原則として5年です(民法724条)。 つまり、最後の収益発生から5年以上経過していれば、請求できなくなる可能性があります。しかし、時効の起算点や中断事由(時効を中断させる事由)など、複雑な要素が絡むため、一概に判断できません。
10年以上放置したからといって、必ずしも権利を放棄したとは限りません。弟の嫁の主張は、時効や黙認(権利を放棄したとみなされる状態)を主張していると思われますが、 時効が成立するかどうかは、最後の収益発生時期や、あなたと弟の間で収益の取り扱いについて何らかの合意があったかなど、具体的な状況を精査する必要があります。 口約束だけで、権利放棄(譲渡)が成立するとは限りません。
* **民法(特に不当利得に関する規定、時効に関する規定)**: このケースの中心となる法律です。
* **相続税法**: 実家の売却と相続税の支払いが問題に関わってきます。弟の相続財産に不動産収益が含まれるかどうかが争点となる可能性があります。
* **黙認と権利放棄**: 長期間放置したからといって、必ずしも権利放棄とみなされるわけではありません。黙認が成立するには、権利者であるあなたの意思表示(権利を放棄する意思)が必要になります。単なる放置だけでは、権利放棄とはみなされにくいでしょう。
* **時効の起算点**: 時効の起算点は、最後の収益発生日です。 それ以降、5年間請求しなければ消滅時効が完成します。
* **口約束の法的効力**: 口約束は法的証拠としては弱いですが、状況によっては有効な証拠となる場合があります。証人や記録があれば、有利に働きます。
まずは、不動産の収益に関する記録(領収書、通帳など)をすべて集めましょう。 弟と収益の取り扱いについて何らかの書面(メールや手紙など)があれば、それを証拠として提示できます。 また、弟とあなたの関係性を証言できる人がいれば、証人として証言してもらうことも有効です。
時効や不当利得に関する法律は複雑で、専門知識がないと判断を誤る可能性があります。 特に、弁護士からの内容証明が届いている状況では、一人で対応せず、弁護士に相談することを強くお勧めします。弁護士は、あなたの状況を詳しく聞き取り、証拠を精査し、最適な解決策を提案してくれます。 裁判になった場合も、弁護士が代理人として対応してくれます。
10年以上放置したからといって、必ずしも不動産収益の返還請求権が消滅するわけではありません。 時効や黙認の成立には、具体的な状況を精査する必要があります。 証拠となる資料を集め、弁護士に相談して適切な対応を検討することが重要です。 一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが、解決への近道となるでしょう。
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