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30年越しの遺産分割と固定資産税:相続人の納税義務と解決策

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相続人全員に固定資産税の納税義務があると考えていますが、他の相続人3名は「勝手に納税したのだから、お金は出さない」と主張しています。相続が完了するまでの固定資産税の負担割合はどうなるのでしょうか?また、30年間私が負担してきた固定資産税の請求は可能でしょうか?
相続とは、被相続人(亡くなった人)の財産が相続人(法律上の後継者)に承継されることです。相続財産には、不動産、預金、株式など様々なものが含まれます。そして、その相続財産には、固定資産税などの税金も含まれます。
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人が納める税金です。相続が発生した場合、相続開始(被相続人が亡くなった日)の時点で、その固定資産の所有権は相続人に移転します(民法887条)。そのため、相続開始後、固定資産税の納税義務は、相続人全員に発生します。 相続開始時点での所有者である相続人全員が、その財産の価値に応じて、固定資産税を負担する義務を負うのです。
質問者様は30年間、固定資産税を全額負担されてきました。これは、法律上の義務ではなく、質問者様自身の善意による行為です。しかし、相続開始時点から、相続人全員に按分して納税義務があったことは間違いありません。
相続人全員が遺産分割協議で合意に至れば、過去30年間の固定資産税の負担分について、他の相続人から負担割合に応じた金額を請求することは可能です。ただし、これはあくまで合意に基づくものであり、強制力はありません。
このケースに関わる主な法律は、民法(相続に関する規定)と固定資産税法です。民法は、相続人の範囲や相続財産の承継について規定しています。固定資産税法は、固定資産税の納税義務者や税額の算定方法を定めています。
質問者様の行為は善意によるものですが、法律上、他の相続人に負担を強制できるものではありません。他の相続人が「勝手に納税した」と主張するのは、法律上の義務を無視した主張ではありますが、過去の行為を遡って請求できる法的根拠は、必ずしも明確ではありません。
遺産分割協議において、過去の固定資産税の負担分について、他の相続人との合意形成を目指しましょう。具体的には、30年間の納税額を計算し、相続割合に応じて負担割合を算出します。その上で、他の相続人に負担を求める旨を明確に伝え、書面で合意を取り付けましょう。
例えば、相続人が4名で、相続割合が均等であれば、各相続人の負担割合は25%となります。30年間の納税総額を計算し、他の3名からそれぞれ25%×3名分を請求することになります。
遺産分割協議が難航したり、合意形成が困難な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。特に、相続財産に高額な不動産が含まれる場合や、相続人間に感情的な対立がある場合は、専門家の介入が必要となる可能性が高いです。専門家は、法律的な観点から適切なアドバイスを行い、合意形成を支援します。
30年間にわたる固定資産税の負担は、質問者様の善意によるものでしたが、相続開始時点から相続人全員に納税義務がありました。過去の負担分を請求するには、他の相続人との合意形成が不可欠です。合意が得られない場合は、専門家の力を借りることを検討しましょう。遺産分割協議は、感情的な問題も絡みやすい複雑な手続きです。冷静に、そして法的根拠に基づいた対応を心がけることが重要です。
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