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40年間放置!隣家の軒先越境と相続時の対処法:土地境界と時効取得の解説

【背景】
* 実家の裏の家の2階軒先が、実家の1階屋根の上に約40年間はみ出しています。
* 裏の家は建て替え後に、この状態になったようです。
* 親は最近になってこのことに気づきました。
* 実家は私を含め相続人がおらず、売却予定です。

【悩み】
裏家の軒先のはみ出しは、相続時にどのような問題になりますか?どのように対処すれば良いのでしょうか?売却に影響はありますか?

隣地への越境部分の権利関係を明確化し、売買契約に盛り込む必要があります。

テーマの基礎知識:土地境界と建築基準法、民法

まず、土地の境界線(土地の所有権の範囲を示す線)について理解しましょう。土地の境界は、登記簿(土地の所有者や面積などを記録した公的な書類)に記載されている測量図に基づいて決定されます。 今回のケースでは、裏の家が建て替え時に、実家の土地境界線を越えて軒先を建築してしまった可能性があります。これは、建築基準法(建築物の構造、設備、敷地に関する基準を定めた法律)違反の可能性も含まれます。

さらに、民法(私人間の権利義務を定めた法律)では、所有権(物事を自由に支配する権利)について規定しています。 土地の所有者は、自分の土地を自由に使用・収益・処分する権利を持ちます。 隣家の軒先が土地にはみ出している状態は、この所有権を侵害している可能性があります。

今回のケースへの直接的な回答:越境部分の権利関係の整理

40年間放置されていたとはいえ、裏家の軒先が実家の土地にはみ出している状態は、法律上問題があります。相続手続きを進める前に、この越境部分の権利関係を明確にする必要があります。 具体的には、土地家屋調査士(土地や建物の境界を調査し、登記を行う専門家)に依頼し、正確な境界を測量してもらうことが重要です。

測量の結果、越境が確認された場合、裏家の所有者と話し合い、越境部分の権利関係を整理する必要があります。 話し合いがまとまらない場合は、裁判という手段も考えられます。

関係する法律や制度:民法、建築基準法、時効取得

関係する法律は、主に民法と建築基準法です。民法では、所有権の侵害に関する規定があり、建築基準法では、建築物の敷地に関する規定があります。 また、長期間にわたって事実上の状態が続いている場合、「時効取得」(一定期間、他人の土地を占有することで所有権を取得できる制度)が問題となる可能性があります。 しかし、時効取得には、20年間の平穏な占有が必要となるなど、厳しい条件があります。今回の40年間の占有は、条件を満たす可能性がありますが、専門家の判断が必要です。

誤解されがちなポイント:時効取得の成立要件

時効取得は、簡単に取得できるものではありません。 単に長期間放置されていたからといって、自動的に時効取得が成立するわけではありません。 平穏かつ公然とした占有(周囲に知られることなく、所有者であるかのように土地を使用すること)が20年間継続する必要があるなど、厳しい要件が定められています。 今回のケースでも、時効取得が成立するかどうかは、専門家による判断が必要です。

実務的なアドバイスや具体例:専門家への相談と売買契約

まず、土地家屋調査士に依頼して境界の測量を行い、越境の有無と範囲を明確にしましょう。 その上で、裏家の所有者と話し合い、越境部分の処理方法(例えば、金銭による解決、土地の交換など)について協議します。 話し合いが難航する場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

実家の売却にあたっては、売買契約書に、越境部分に関する記述を明確に盛り込む必要があります。 例えば、「隣地との境界線については、現状有姿で売買する」といった記述を明記することで、トラブルを避けることができます。

専門家に相談すべき場合とその理由:複雑なケースや紛争発生時

境界確定、時効取得の判断、裏家との交渉、売買契約の作成など、専門的な知識が必要な場面が多くあります。 特に、裏家の所有者との話し合いが難航した場合や、法的紛争に発展する可能性がある場合は、弁護士や土地家屋調査士に相談することを強くお勧めします。 専門家のアドバイスを受けることで、適切な解決策を見つけることができます。

まとめ:専門家への相談が不可欠

40年間放置された隣家の軒先越境問題は、相続時における売却を複雑にする可能性があります。 正確な境界確認と権利関係の整理が不可欠であり、土地家屋調査士や弁護士などの専門家への相談が、スムーズな相続手続きと売却を進める上で非常に重要です。 早めの対応が、将来的なトラブルを回避する上で有効です。

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