84歳義父の不動産相続と多額ローン問題：相続税対策とリスクの全貌

相続と住宅ローンの関係

相続において、不動産は「プラスの財産」と「マイナスの財産」の両方として扱われます。プラスの財産は不動産の評価額（時価）で、マイナスの財産は残債（ローン残高）です。相続財産は、プラスの財産からマイナスの財産を引いた「相続時清算価額」で計算されます。

つまり、不動産の評価額よりローン残高が多い場合、相続財産はマイナスとなり、相続税はかかりません。しかし、相続人はローンを相続し、返済義務を負うことになります。

義父の主張の検証

義父が「ローンが残っていないと税金が高い」というのは、部分的に正しいですが、完全には正しくありません。相続税は相続財産の評価額（時価）を基に計算されます。ローンが残っている場合、相続財産の評価額が減るため、相続税額も減る可能性があります。しかし、これはあくまで相続税を計算する際の評価額の話であり、相続税がゼロになるわけではありません。

家賃収入でローン返済が可能かどうかは、家賃収入額、ローン返済額、修繕費、管理費などの諸経費を考慮して判断する必要があります。単純に家賃収入だけで判断するのは危険です。

相続税の計算と控除

相続税は、相続財産の評価額から基礎控除額（相続人の数や相続財産の規模によって異なります）を差し引いた額に税率を掛けて計算されます。不動産の評価額は、路線価や公示地価などを基に算出されます。ローン残債は、相続財産の評価額から差し引かれます。

相続税の計算は複雑であり、専門家のアドバイスが必要となるケースが多いです。

誤解されがちなポイント

* **ローン残債＝相続税ゼロではない:** ローン残債があるからといって、必ずしも相続税がゼロになるわけではありません。相続財産の評価額が低くても、基礎控除額を下回る場合、相続税はかかりません。
* **家賃収入だけで判断しない:** 家賃収入だけでローンの返済可能性を判断するのは危険です。空室リスク、修繕費、管理費などの諸経費も考慮する必要があります。
* **相続税の申告は必須:** 相続税の申告は、相続開始後10ヶ月以内に行う必要があります。

実務的なアドバイス

* **不動産の評価額とローン残高を正確に把握する:** 不動産会社や税理士に依頼し、不動産の正確な評価額とローン残高を把握しましょう。
* **家賃収入と支出を詳細に分析する:** 家賃収入だけでなく、空室リスク、修繕費、管理費、固定資産税などを考慮した上で、収支を正確に分析しましょう。
* **相続税の専門家に相談する:** 相続税の計算は複雑です。税理士などの専門家に相談し、最適な対策を検討しましょう。
* **相続放棄の検討:** 相続財産がマイナス（ローン残高の方が大きい）の場合、相続を放棄することも可能です。ただし、相続放棄には期限があります。

専門家に相談すべき場合

* 不動産の評価額やローン残高が不明確な場合。
* 家賃収入と支出の収支が不明確な場合。
* 相続税の計算方法が複雑で、自身で判断できない場合。
* 相続放棄を検討する場合。

まとめ

義父の主張は、相続税の計算においては部分的に正しいですが、家賃収入だけでローンの返済可能性を判断するのは危険です。相続税の計算は複雑で、専門家のアドバイスが必要なケースが多いです。不動産の評価額、ローン残高、家賃収入、支出などを正確に把握し、税理士などの専門家に相談して、最適な相続対策を検討することが重要です。相続放棄という選択肢もあることを理解しておきましょう。 特に、多額のローンが残る相続は、専門家の支援なくして判断するのは非常に困難です。