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86歳高齢親の不動産売却・抵当権設定:成年後見制度と相続、民法859条の3の解説

【背景】
86歳になる父が、判断力の低下が見られるようになりました。父名義の居住用不動産を、相続予定者である私(息子)が、父の同意を得て、他の相続予定者の同意を得ずに売却または抵当権を設定したいと考えています。

【悩み】
民法859条の3では、成年後見人が成年被後見人の居住用不動産を売却・抵当権設定する際は家庭裁判所の許可が必要とありますが、成年後見人になっていない場合、父の同意だけで売却・抵当権設定を行っても問題ないのでしょうか?他の相続予定者から異議が出される可能性や、法律上の問題はないか不安です。

成年後見開始前でも、判断能力の低下が認められる場合は法律上の問題が生じる可能性があります。

成年後見制度と不動産売買の基礎知識

まず、成年後見制度について理解しましょう。成年後見制度とは、認知症や知的障害などにより判断能力が不十分な方(成年被後見人)を保護するために、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。後見人には、被後見人の財産管理や身上監護(生活全般の世話)を行う権限が与えられます。

民法859条の3は、成年後見人が被後見人の居住用不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合、家庭裁判所の許可が必要だと定めています。これは、判断能力が不十分な方が不利益を被るのを防ぐための重要な規定です。

今回のケースへの直接的な回答

質問者様のケースでは、ご父兄は成年後見開始の手続きはされていません。しかし、判断能力の低下が認められる場合、ご父兄の同意だけで不動産の売却や抵当権の設定を行うことは、法律上問題が生じる可能性があります。他の相続予定者から異議が申し立てられる可能性も高いでしょう。

なぜなら、ご父兄の判断能力が不十分な状態であれば、ご父兄の同意が真に自由意思に基づいているとは言い切れないからです。結果として、売却や抵当権設定によってご父兄が不当な損害を被る可能性があるためです。

関係する法律や制度

関係する法律は、主に民法と成年後見制度に関する法律です。民法859条の3以外にも、成年被後見人の財産管理に関する規定が複数存在します。また、成年後見制度に関する法律は、後見人の選任や権限、監督について規定しています。

誤解されがちなポイントの整理

「親の同意があれば問題ない」という誤解が多いですが、判断能力が低下している場合、その同意が真に自由意思に基づくとは限りません。専門家の判断が必要となるケースです。

実務的なアドバイスや具体例の紹介

ご父兄の判断能力を客観的に評価するためには、医師の診断書が必要となるでしょう。その上で、成年後見開始の手続きを検討するか、家庭裁判所に相談して、保佐人(一部の財産管理のみを支援)や補助人(契約の補助)を選任してもらうことも考えられます。

仮に、成年後見開始の手続きを取らずに売却・抵当権設定を行う場合、他の相続予定者から訴訟を起こされる可能性があります。

専門家に相談すべき場合とその理由

弁護士や司法書士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家は、ご父兄の状況を正確に判断し、最適な手続きや解決策を提案できます。特に、相続に関する紛争は複雑なため、専門家のアドバイスなしで進めるのはリスクが高いです。

まとめ(今回の重要ポイントのおさらい)

86歳のご父兄の判断能力が低下している場合、ご父兄の同意だけで不動産の売却や抵当権の設定を行うことは、法律上問題が生じる可能性があります。他の相続予定者からの異議申し立てや訴訟リスクも考慮する必要があります。成年後見開始の手続きや、保佐人・補助人の選任、もしくは弁護士・司法書士への相談を検討することが重要です。早めの専門家への相談が、トラブル回避につながります。

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